兄からの返信

画像 20歳離れた兄がいる。本や映画、絵をみることなど、文系の趣味が同じだ。歳が離れているのと、父親が違うせいか一緒に暮らしたことはない。

 親しくなったのは、20年くらい前に広島の姉が来たとき、一緒に積丹へ旅行したことがきっかけだった。だから、まだ20年ほどの付き合いになる。


 この兄はユーモアがあり、話し上手だ。代議士の鞄持ちから、念願だった政治の末席についたことなど、努力家である。余談になるが、演説が上手だと書かれた記事を見せてもらったことがある。それに、客観的な見方のできる大人でもある。

 エッセイ教室に行ったとき、複眼で見るようにと教えられたと話すと、「ここにバナナがあるとしたら、画家はどの角度から描こうかと思い、調理師はどんな味付けにしようと思い、商売人はいくらで売ろうかと思うんだぞ」と噛み砕いて教えてくれた。以前、毎日筆字を練習していて、字も上手だ。

 顔も含め、兄妹では一番いいところを貰って生まれてきたと思う。お盆やお彼岸には兄妹で集い、広島の姪の結婚式やお花見など、一緒に旅行を楽しんできた。



 その兄も、よる年波には勝てず、会うたびに体調不良ばかりを口にするようになった。複数の病院にかかっているのにである。去年の夏には、胃がんや肺がんを心配していた。「心配だったら先生に聞いてみたら?」というと、先生は検査をしますかと言って下さるとのこと。



 私の趣味の短歌は、迷路に陥りそうな思いを逸らしてくれる。心のはけ口だ。文系の趣味を持つ兄にも向いていると思い、俳句か短歌を始めてみませんかと葉書を出した。



 すると、昔、アマチュアの方のすばらしい短歌を読んだときに、自分にはできそうにないから短歌には手を出さないと決めていると、断りの手紙が届いた。アマチュアの方の短歌を覚えていることがすごい!
 
 政談を今朝は語らずさわらびのやわらかさを賞ずおくさまのあらば



この歌の良さを兄ほどにはわからない。

う~ん・・・この理由の奥に、いい歌を詠めないかもしれないことへの不安が伝わった。
先生じゃないのだから身辺雑記でいいと思うけれど・・・

八十代の兄に不様を晒して詠むんだよとは言えない。気が進まなかったらいいよと返事を書いた。雪で電車に遅れがでなくなったら、兄のご機嫌伺いに行ってみよう。




画像先日の歌会に出した唐花草の歌も、字余りと意味もなさそうで、「再考します」と引き下がってきた。

もう一首も・・・それがどうしたの?という歌だ。

  唇に馴染みし碗の片方(かたえ)には紅茶の渋のうすく染みたり


♪上の皿はリモージュのデミタス用のカップと対。
 私の結婚式の美容室へ行く途中の東急デパートで250円。

 下のはドゴール空港の売店でバーゲンだった。
 一目惚れで買ったが、「カンペール」のカップ。
 
 悲しみの底はいつかと時に問う重き病の友の時間に

 線と線の間そろえて美文字とう続きし友との距離に似ている


 

 

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